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任意後見 とは?メリット・デメリットから手続き、費用まで分かりやすく解説

若い女性と高齢女性が手を重ねる

人生100年時代と言われる現代。
「健康でいられる期間」と「実際に生きている期間」の差が、年々広がっていると言われています。

元気なうちは良いですが、もしもの時に備えて、自分の大切な財産や日々の暮らしを誰に託すのか、考えておくことはとても大切です。

そこで、近年注目されているのが「任意後見制度」です。

この記事では、任意後見制度がどんなものなのか、制度のメリット・デメリット、手続きの方法、費用、よくある質問まで、解説していきます。

任意後見制度とは?

任意後見制度とは、将来的に判断能力が低下した際に備えて、特定の人に自らの財産や生活をサポートしてもらう契約を結び、必要になった場合には依頼を受けた人が依頼主に代わって財産の管理や生活の手助けを行う制度です。

任意後見制度の目的

任意後見制度の目的は、本人の判断能力が低下した後の生活、医療、介護、財産の管理をスムーズに行うことです。

自分の意思を尊重してもらい、今まで通りの生活の質を維持するため、信頼できる人に後見の仕事をお願いしておくことができます。

任意後見契約の内容

任意後見契約では、後見人にどのような権限を与えるか、どんなことをお願いしたいかをあらかじめ決めておくことができます。

後見人に指定された人は、契約が有効になった際には本人に代わって契約を結んだり、財産を管理したりすることができます。

ただし、食事の世話や身の回りの世話など、法律行為以外の行為は含まれません。

また、結婚や離婚など、本人にしかできない行為も後見人に委任することはできません。

後見人が行う仕事の内容

後見人が行う仕事の内容は、大きく分けて「財産の管理」と「暮らしのサポート」の二つがあります。

  • 財産の管理(財産管理):預貯金の管理、不動産の売却など
  • 暮らしのサポート(身上監護):介護サービスの利用、病院への入院手続きなど

財産の管理とは、預貯金の管理や不動産の売却など、本人の財産に関する仕事のことです。
例えば、預貯金の出し入れや、不動産の売却、株式の運用などを後見人に任せることができます。

暮らしのサポートとは、介護サービスの利用や病院への入院手続きなど、本人の生活に関する手続きを行うことをいいます。

任意後見人と任意後見監督人

任意後見制度では、後見人だけでなく、任意後見監督人も必要です。

任意後見人は任意後見契約を行う際に委任者が決める必要がありますが、任意後見監督人は任意後見契約を有効にする際に家庭裁判所によって決められます。

任意後見人の役割

任意後見人は、任意後見契約で決められた後見の仕事を行います。

任意後見人が行う仕事はこちらの通りです。

後見人を選ぶときの注意点

後見人を選ぶときには、以下の点に注意することが大切です。

  • 信頼できる人を選ぶ
  • 後見の仕事をきちんと行える能力がある人を選ぶ

信頼できる人を選ぶことは、任意後見制度を活用する上で最も重要なことです。
後見人は、本人の財産や暮らしを管理する大切な役割を担うため、信頼できる人に託さなければなりません。

後見の仕事をきちんと行える能力がある人を選ぶことも重要です。
後見の仕事には、法律や手続きに関する知識が必要となる場合もあるため、後見の仕事をきちんと行える能力がある人を選ぶことが大切です。

また、条件によっては後見人の資格を持たない人もいるため、事前に条件を確認しておきましょう。

後見人の選び方について詳しくはこちら>>

任意後見監督人の役割

任意後見監督人は、家庭裁判所に代わり、任意後見人が適切に業務を行っているかを確認する役割を担います。

具体的には、任意後見人から業務内容の報告を受け、不正の有無や財産管理の状況などをチェックします。

任意後見人は、本人が信頼できる人物を選ぶことができる一方で、任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。

本人が候補者を立てることはできますが、必ずしも家庭裁判所がその候補者を選任するとは限らないことに気を付けましょう。

任意後見制度の利用手続き

任意後見制度を利用するには、大きく2つの手続きが必要となります。

1つが、あらかじめ委任者が任意後見人を選ぶ「任意後見契約書」の作成です。

もう1つが、委任者の判断能力が低下した際に任意後見契約書を有効にするための「任意後見監督人」の選任です。

任意後見契約書の作成

任意後見人を決めるための任意後見所の作成の手続きは以下の流れで行われます。

・任意後見契約案の作成
・任意後見契約構成証書
・公証役場にて東京法務局に任意後見の登記申請

まず、公証役場において、本人と後見人となる人が任意後見契約を結びます。
任意後見契約は、公正証書という形で作成する必要があります。

任意後見監督人の選任

任意後見契約書の作成後、委任者(任意後見をお願いした人)の判断能力が低下し、契約を有効にしようとした際には、最寄りの家庭裁判所へ申し立てが必要です。

申立てを行うことができるのはご本人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者で、下記の流れで申し立てを行う必要があります。

・提出書類の用意
・委任者の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出する
・後見開始の調査、審判
・初回報告書類(財産目録,収支予定表等)の作成、任意後見監督人への提出

家庭裁判所は、申し立ての内容を審査し、後見開始の審判を行います。
審判で後見開始が決定すると、後見監督人が選ばれ、任意後見契約が効力を生じます。

後見開始後は、後見人が後見の仕事を開始します。

後見人は、任意後見契約で決められた後見の仕事を行い、受任者の利益を守ります。

必要な書類

任意後見監督人の選任に必要な書類は以下の通りです。

状況に応じて必要な書類は異なるため、不安な場合は専門家への相談を行いましょう。

1 申立手続書類
□ 申立事情説明書
□ 診断書
□ 本人情報シート
□ 任意後見受任者事情説明書(任意後見受任者自身が作成する)
□ 親族関係図
□ 収支予定表
□ 財産目録
□ 任意後見契約公正証書の写し

2 本人に関する書類
□ 戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)
□ 住民票(又は戸籍附票)
□ 本人の後見登記事項証明書
□ 本人の成年被後見人等の登記がされていないことの証明書

3 任意後見受任者に関する書類
□ 住民票(又は戸籍附票)
□ 法人の場合は商業登記簿謄本

4 本人の財産に関する書類
(1) 定期的な収入に関する資料
□ 源泉徴収票又は確定申告書
□ 年金証書又は年金改定通知書

(2) 定期的な支出に関する資料
□ 施設利用料、家賃が分かるもの
□ 国民健康保険料・介護保険料納付書
□ 固定資産税納付書
□ 医療費の領収書

(3) 預貯金に関する資料
□ 預貯金通帳又は証書

(4) 株式、投資信託などの金融資産に関する資料
□ 有価証券取引残高報告書

(5) 不動産に関する資料
□ 不動産登記事項証明書
□ 固定資産評価証明書又は固定資産税納税通知書

(6) 保険契約に関する資料
□ 保険証書(コピー)

(7) 債権・負債に関する資料
□ 金銭消費貸借契約書及び償還表(コピー)

    任意後見制度のメリット・デメリット

    任意後見制度には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

    メリット

    • ・自分の意思で後見人を選べる
    • ・財産の管理や暮らしのサポートを信頼できる人に任せられる
    • ・将来の不安を減らせる

    任意後見制度の最大のメリットは自分の意思で後見人を選べることです。

    認知症などで判断能力が不十分と判断された場合に利用できる成年後見制度には、任意後見制度法定後見制度の2種類があります。

    法定後見制度について詳しくはこちら>>

    法定後見制度では、自身の財産の管理を依頼する先は家庭裁判所によって選ばれるため、どんな人物が財産を管理するかを自身で選ぶことができません。

    一方で、任意後見制度では、あらかじめ自分自身で信頼できる家族や友人に自分の財産や暮らしを任せることができます。

    また、自分で管理の依頼先を選ぶことができるため、財産の管理や暮らしのサポートを信頼できる人に任せられることもメリットです。

    さらに、任意後見制度を利用することで、判断能力が低下した場合でも自分の意思が尊重しながら、適切なサポートを受けるため、将来の不安を減らすことにもつながります。

    デメリット

    • ・手続きが必要
    • ・費用がかかる

    任意後見制度のデメリットとしては、手続きが必要ことが挙げられます。

    公証役場での契約を結んだり、家庭裁判所へ申し立てたりなど、書類の用意や手続きなどが負担になる場合は、専門家への相談・依頼をすることがおすすめです。

    また、成年後見制度の利用には費用がかかります。

    公証役場への手数料や裁判所への費用などに加え、後見人や後見監督人へ支払う費用が発生する場合もあるため契約時に確認を行うことが大切です。

    任意後見制度に関するQ&A

    よくある質問

    任意後見契約はいつでも変更できる?

    はい、任意後見契約は、本人が自分の判断で物事を決められるうちに限り、いつでも変更することができます。
    ただし、変更する場合は、もう一度公証役場での手続きが必要となります。

    また、変更できる項目にも一部制限があるため、変更を行いたい場合は専門家に相談しましょう。

    後見人は誰でもなれる?

    いいえ、後見人になれるのは、成年被後見人、被保佐人、被補助人でない人に限られます。

    簡単に言うと、すでに誰かの後見を受けている人や、判断能力が不十分とされている人は、後見人になることができません。

    また、破産者や禁治産者も後見人になることはできません。

    保佐人や補助人について詳しくはこちら>>

    任意後見制度を利用するのに年齢制限はある?

    いいえ、任意後見制度を利用するのに年齢制限はありません。

    ただし、未成年者が任意後見契約を結ぶ場合は、法定代理人(親など)の同意が必要となります。

    任意後見制度の相談窓口

    任意後見制度について、もっと詳しく知りたい、専門家に相談したいという場合は以下の窓口をご利用がおすすめです。

    法律事務所
    司法書士事務所
    行政書士事務所

    法律事務所では、弁護士が任意後見制度に関する法律相談や手続きの代理を行います。

    司法書士事務所では、司法書士が任意後見契約書の作成や家庭裁判所への申し立て手続きを代理します。

    行政書士事務所では、行政書士が任意後見契約書の作成や必要書類の収集などをサポートします。

    港・品川相続・遺言相談室では任意後見の無料相談を実施中!

    港・品川相続・遺言相談室では電話メールLINEでのお問い合わせを受け付けております。

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      この記事を担当した司法書士
      司法書士ブランリーフ 代表司法書士 矢尾直子
      保有資格東京司法書士会 登録番号 第2566号 簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 認定第601070号 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート 会員番号3112469 法テラス 契約司法書士 SC相続手続カウンセラー®
      専門分野相続・遺言・生前対策
      経歴司法書士ブランリーフ代表
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