法務局で相続の相談は可能?自分で登記手続きをするデメリットとは
大切なご家族がお亡くなりになれた際には相続が発生します。
もしも不動産を相続する場合、あなたは相続登記、つまり不動産の名義変更をしなければなりません。
以前は専門家である司法書士に依頼される方が多かったですが、最近はインターネットの普及により情報にアクセスしやすくなったためか、ご自身で相続登記の手続きを行おうと思われる方も増えています。
そこで本記事では、そもそも法務局ではどんな相談ができるのか、自分で登記手続きをする際の注意点といった内容を司法書士が解説します。
目次
法務局で相続の相談はできる?
ご自身で登記の手続きを検討中の方は、申請書の提出先である法務局に相談を寄せるケースが増えています。
登記について法務局に相談できます。
東京法務局であれば「登記手続案内」といった名称です。
ただし、登記についてのみ、相続全般についての相談はできません。
法務局で登記の相談をするデメリット
法務局の登記相談は基本無料で、提出先の期間が開催しているため、誰でも安心して気軽に利用することができますよね。
しかしその反面、法務局の登記の相談にはいくつかの注意点がありますので、それらを考慮した上で利用する必要があります。
デメリット1:相談内容は書類作成のサポートのみ
法務局の登記の相談は、その内容が限られます。
登記の申請書類を作成する「やり方」「記載方法」についての相談のみです。
親族で不動産をどう分配すべきか、相続する不動産について揉めているなど法的な相談にはのってもらえません。具体的な事案に沿ったアドバイスも受けることができません。
また、相談員による事前審査もありませんので、記載した申請書類に不備があるかを確認してもらうこともできないのです。
デメリット2:時間制限がある
法務局への相談は、時間制限を設けられていることがあります。
例えば、東京法務局の相談時間は1回20分以内です。
また、相談は予約制です。
登記の申請書についてちょっとだけわからない点がある、くらいであれば利用するのもよいでしょう。そうでないと申請書の記載にかなりの時間を要してしまうこともあります。
自分で相続登記をする注意点
相続登記をご自身で行うことは可能です。ただし、とても大変です。
自分で相続登記の手続きを行う際のデメリットや注意点を知った上でご自身で行うか、専門家に依頼するか判断するとよいですよ。
注意点1:手続きには専門的知識が必要
相続登記手続きの申請書の作成には、専門的な知識を要します。
申請書は法によって定められた規則に則って作成し、必要な書類とともに法務局に提出しなければなりません。
専門的知識がないと、例えば、必要な書類が状況によって異なることを知りません。
法定相続分で相続したケース、遺言書があるケース、遺産分割協議によって相続したケースなど、それぞれのパターンで添付書類が異なります。
必要書類が添付されていなければ、申請を受理してもらえないといった問題が発生します。
注意点2:法務局は業務取扱時間は夕方まで
相続登記を自ら手続きする場合、法務局の業務取扱時間には注意が必要です。
例えば、東京法務局は、平日の午前8時30分~午後5時15分となっており、土日祝日や夜間は受け付けていません。
相続登記に必要な書類等はオンラインでダウンロードや郵送も可能ですが、窓口を希望する方は業務取扱時間内に法務局に出向かなければなりません。
相続登記の経験がない方は窓口がおすすめですが、必要書類をひとつひとつ聞きながら進めることとなり、進んでまた躓き相談に訪れてと、想像以上に手間がかかってしまうこともあります。
また、相続登記の無料相談も平日の日中のみという場合が多く、さらに予約制のため聞きたいときにすぐに聞けないことにも注意が必要です。
注意点3:戸籍の収集に時間がかかる
相続登記手続きのために、まず戸籍の収集をしなければなりません。
相続登記は相続人を確定する必要があり、相続人の確定には、被相続人(故人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せて相続人が誰であるかを確認します。
相続人が確定したら、さらに各相続人の戸籍も取り寄せなければなりません。
相続人が十数人となるケースもありますし、ある相続人の戸籍収集を忘れていたなど、戸籍の収集には時間がかかってしまうのです。
ご自身で行う戸籍の収集は、時間がかかるだけでなく、その後の手続きや遺産分割のトラブルの種となりかねません。
注意点4:相続人の確定が困難・時間がかかる
相続手続きのためには相続人を確定する必要がありました。
相続人確定の際に、想定していた相続人以外の相続人が出てくるといったケースがあります。
例えば、初婚だと思っていた被相続人が実は再婚で前の配偶者との間に子がいた場合。
前の配偶者のお子さんも相続人となり、そのお子さんの戸籍の収集もしなければなりません。
また、被相続人の兄弟姉妹が相続人になるケース。被相続人の父親が結婚前に別の女性との間にお子さんをもうけていたなど、被相続人自身も知らなかった兄弟姉妹が出てくることもあります。
このようなケースも考えられるため、相続人確定には被相続人の親の結婚前の戸籍まで調べなければなりません。
古い戸籍を辿って読み取るのはかなりの労力が必要ですし、慣れていないと難しいことです。
注意点5:遺産分割協議でトラブル
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合いをすることです。
必ず相続人全員で話し合う必要があるのですが、以下のような問題が発生することがあります。この場合は専門家に相談しなければ手続きが非常に大変です。
ケース1:未成年・認知症の相続人がいる
相続人の中に未成年者や認知症の方がいた場合、遺産分割協議では代理人を立てなければなりません。
未成年者は、家庭裁判所に申し立て、未成年者のために特別代理人の選任が必要です。基本的には、未成年の相続人と利害関係のない者が選ばれます。
認知症の方は、成年後見人を選任しなければなりません。正常な判断力を欠いている可能性が高いからです。
ケース2:連絡の取れない相続人がいる
疎遠になってしまい、連絡先の分からない相続人がいるケースがあります。
あるいは、全く面識のない相続人がいるということも。
相続人が1人でも欠けた状態で行った場合、遺産分割協議の結果は無効となるため連絡を取らなければなりません。
また、相続人の中に行方不明者がいるケースもあります。
行方不明者抜きで協議を行うことはできず、不在者財産管理人を選任しなければなりません。
ケース3:遺産分割協議がまとまらない
遺産分割協議で揉めてしまい、話がまとまらないことがあります。
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てなければなりません。
家庭裁判所での手続きが・申立が必要となり、自ら出向かなければならなくなります。
注意点6:先代の相続登記がなされていない
先代の相続登記がなされていないことがあります。
2024年以前は相続登記は義務ではありませんでしたから、手続きをそのまま放置してしまう方がいらっしゃったのです。
例えば、被相続人のお父様が亡くなられたため相続登記をしようとしたところ、名義がお祖父様のままであったケース。
お父様が相続登記を放置したわけですが、このままでは相続人は相続登記の手続きができないのです。
この場合には、お祖父様の代の相続人を確認するところから始めなければならず、簡単に手続きができません。
注意点7:他人の権利がついている
他人の権利とは、抵当権や賃借権、地上権などです。
相続する不動産に他人の権利が付いていた場合、単に相続登記の手続きをすればよいわけではありません。
他人の権利を抹消するための手続きを一緒に行うようにします。
不動産に他人の権利が付いていた場合、不動産を担保に金融機関から融資を受けたり、不動産を売却したりすることができない可能性が高いです。
そのまま相続手続きを進めてしまったり、登記の抹消で揉めたり、後でトラブルが発生することもあるので専門家へ相談をおすすめします。
注意点8:書類に不備があれば再提出
当たり前のことですが、書類の不備やそもそも書類が不足していた場合、再提出を求められます。法務局へ再度出向かなければなりません。
郵送も可能ですが、何が足りないのかどこをどう直せばいいのかわからず、結局投げ出してしまったり時間がかかってしまったりしがちです。
窓口の空いている時間に出向いたり問い合わせたりするのは、やはり時間と手間ばかりかかって大変ですよ。
直接司法書士にご相談いただくメリット
ご自身で相続登記をする場合、専門知識がなかったり時間の制限があったりと結構大変です。
遺産分割協議や未登記の不動産を相続ともなれば手続きも必要な書類も多くなりますます煩雑なものとなります。
そこで専門家に直接、相続についてご相談いただくことをおすすめします。
相続登記を司法書士に依頼すれば、戸籍謄本など必要書類の収集から遺産分割協議書の作成まで全て任せることができます。
専門家が入ることで、煩わしい手続きをしなくてすむだけでなく、安心かつスピーディーに相続手続きを完了させることができますよ。
当事務所は無料相談を実施しています
法務局では相続登記の書類作成についてのみ相談で、決まった時間帯にしか相談を受け付けてもらえません。
当事務所の相続相談は、あなたのご都合の合う日程で、ゆっくりご相談をいただくことが可能です。
事前にご連絡をいただければ、区役所が開いていない平日夜間や土日のご相談も対応させていただきます。まずはお問い合わせください。
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