相続人ではない人が遺贈で財産を相続したケース
- 2023.06.17
相談者 60代女性からのご相談
私には長い間お付き合いをしていた男性(Aさん)がいましたが、ある日、Aさんの自宅を訪ねたところ、Aさんが亡くなっていました。
生前Aさんは、「自分には相続人はいないから、自分が死んだら、あなたに全部遺贈するね」と言って、封印をした封筒を渡されたことがありました。
数年前にその封筒を渡された時は、こんなに早くAさんが亡くなるとは思っていませんでしたし、「大切にしまっておくね」と言って保管していました。
Aさんが亡くなった当時は呆然としてしばらくは何も思いつかず時間が過ぎましたが、最近になって、ようやくしまっておいた封筒を思い出して相談に来ました。
当事務所からのご提案
相談者が持参された封筒は封印されていて封筒には何も記載されていませんでしたが、まずは家庭裁判所に検認の申立をすることにしました。
検認の申立をするに当たってAさんの相続人の調査をする必要があるため、戸籍の収集も行いました。
家庭裁判所での検認の日に封筒が開封され、Aさんの所有する不動産と銀行預金を相談者に遺贈するということが記載されていました。
遺贈による不動産の登記をするに当たって遺言執行者が必要になりますが、遺言には遺言執行者の指定はされていませんでした。
このため、遺言執行者の選任申立を裁判所に行い、当職が遺言執行者に指定されました。
これらの手続きを経たあと、Aさんの不動産は無事に相談者に移転登記がされ、銀行解約の手続も終了し、相談者への遺贈の手続が完了しました。