未反映|夫が認知症と診断され、妻が後見人となり不動産の売買を進めた事例
目次
状況
品川区にお住まいの方からのご相談でした。
ご相談者様の夫が数年前にアルツハイマー型認知症と診断されたそうです。
夫は、お父様から相続した地方の不動産を所有しており、その不動産の買い手が見つかり不動産の売買契約を行う必要があったが、夫は病気なので、どのように進めてよいのか困っている。とご相談にいらっしゃいました。
当事務所からの提案&お手伝い
依頼者をご主人の後見人候補者として、裁判所に後見開始の申立を行いました。
依頼者がご主人の後見人となり、無事に不動産の売買契約を行うことが出来ました。
認知症になった場合の不動産の売買
不動産の名義人が認知症になってしまうと、名義人には意思能力がないと見なされ、不動産の売買をはじめとする不動産の取り扱いが制限されてしまいます。
このような状況でも、不動産の売買を行いたい、という場合に利用されるのが成年後見制度です。
今回のご相談者様の場合も、この制度を利用することで認知症になった旦那様の不動産を売却することができました。
結果
本件では依頼者が後見人となりましたが、後見人に選任された者は、一回限りの不動産売買契約を行って終了というわけではなく、その後も被後見人の財産管理と身上監護を行う必要があります。
財産管理としては、毎年被後見人の財産の収支状況を明らかにして裁判所に報告を行います。
ご相談者の中には、後見人の候補者が身近にいないという方も多くいらっしゃいますが、そのような場合でもご相談いただければ、当職が後見人になるなど適切な対応を取ることができますのでご相談下さい。
認知症によって名義人の財産の取扱いが制限されることも…
今回のご相談者様のように、不動産の名義人が認知症になってしまうと、不動産の取り扱いに制限がかかってしまいます。
なぜ財産の取り扱いが制限されるのか?
一定の条件に該当した場合に、資金の引き出しなどの取引が停止されること凍結といいます。
皆さんも銀行口座の名義人が亡くなった際に起こる、「口座凍結」で耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実は、この「凍結」は、資産の名義人が亡くなった場合だけではなく、名義人が認知症になった場合でも起こります。
これは認知症になって判断能力が低下した名義人本人と、本人の財産を守るために行われます。
したがって、認知症を発症すると、法的に判断能力がないとみなされ、不動産の売買や預貯金の引き出しなどができなくなるケースがあります。
預貯金
認知症になると凍結される財産には預貯金も含まれます。
名義人が認知症になってしまうと、銀行口座の名義人である本人や家族であっても
・普通預金でお金が下ろせない
・定期預金を解約できない
ということも起きてしまいます。
不動産(自宅・アパート・土地など)
自宅やアパートなどの所有者(名義人)が認知症になると、家族であっても、
・不動産を売ることができない
・リフォーム・修繕ができない
・賃貸の契約ができない
という事が起きてしまいます。
認知症になった場合に活用できる成年後見制度とは
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分なために、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で支援する仕組みで、財産の管理を第三者に任せる方法になります。
成年後見で知っておくべき3つのポイントは下記です。
・認知症などで判断力がなくなった人を守るためにある制度
・「成年後見人」が財産の管理や契約行為を行う
・「成年後見人」は家庭裁判所が選ぶ
成年後見制度のメリット・デメリット
判断能力が亡くなっても自分の財産を守ることができる
認知症や知的障害などで意思能力が不十分な場合、悪徳商法や詐欺の被害に遭いやすくなります。
成年後見人は意思能力が不十分な人物に代わって契約や財産管理を行うことで、本人をそのような危険から守ることができます。
また、介護施設への入所契約など、意思能力が不十分な本人が必要とする契約を締結することもできます。
財産着服のおそれ
成年後見制度が始まった2000年ごろ、後見人として選任されるのは配偶者や子どもなどが91%と、親族が圧倒的多数を占めていました。
ところが次第に、親族を後見人に選んだことで、思わぬトラブルが起こるようになりました。
「認知症の父親の後見人になった弟が、父親の預貯金を勝手に引き出して使っているようだ」
「母親が亡くなった後、遺産分割をしようとしたら、母親の後見人だった兄が、多額の預貯金を引き出していたらしく、財産がほとんど残っていなかった」
など、親族後見人による財産の着服被害が増加していく中で、親族後見人とすることが正しいのかという事もあります。
専門家による「成年後見監督人」の監督体制
後見人は原則として、財産に関する全ての法律行為を、本人に代わって行うことができるため、判断能力を失った人の後ろ盾となり、支援や保護ができる半面、悪用される可能性も高いです。
もちろんこの制度には、そうした事態を想定した仕組みもあります。
「成年後見監督人」がついて、不正を行っていないかチェックする仕組みですが、残念ながらその仕組みは正しく機能してはいなかったようです。
実際に横領の件数が増加して問題視されるようになってから監督が厳しくなり、ようやく機能し始めたというのが現実です。
認知症になる前に行う対策~家族信託~
不動産や預貯金の名義人が認知症になってしまった場合は、成年後見制度を利用することでしか資産の取り扱いを行うことができません。
しかし、あらかじめ家族信託を利用することで、認知症発症後も成年後見を立てずに名義人の資産を取り扱うことができます。
家族信託とは
そもそも、信託とは財産を信頼できる人(あるいは会社)に預けて、預ける目的に従って管理してもらうことです。
財産の所有者が、判断能力を失い、資産の売却や活用が法的に難しくなることに備えて、事前に資産の管理、活用の契約を結ぶ財産管理の方法のことを指します。
中でも、この管理を家族に託すことを「家族信託」といいます。
認知症になった後でも、成年後見によって親族の財産を管理することができますが、裁判所への手続きや報告が煩雑なうえに、不動産や株式の売却といった必要な財産の処分も勝手に行うことができなくなります。
一方、家族信託であれば、受益者(預けられた財産から得られる利益を受け取る人)は名義人があらかじめ自分で指定できます。
したがって、信頼できる人物に預けることで勝手に財産を使い込まわれてしまう不安がないうえに、不動産や株式の売却といった必要な財産の処分も指定された管理者によって判断されるため、委託者の意思を残したまま財産の管理が行われやすいです。
自分の資産を信頼した人に預けたい人や、認知症になった後は自身の資産から介護費を使用してほしいとお考えの方はあらかじめ信託契約を結んでおくことがおすすめです。
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相続財産の価額 | 報酬額 |
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6,000万円以下 | 330,000円 |
6,000万円超~1億4,000万円以下 | 相続財産の0.55% |
1億4,000万円超~ | 要見積もり |
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